東京地方裁判所 昭和39年(レ)437号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕民法第二八三条にいう「継継」の要件をみたすためには、承役地になる土地の上に通路の開設があつただけでは足りず、その開設が要役地の所有者によつてなされることを要するものと解すべきである。
ところで、……を総合すれば、昭和二五年九月ごろ以前から本件係争土地は、その東側には巾一尺ないし四尺位の溝があり、西側の部分は明確に道路としての形状を備えていた訳ではないが、すでに一応通路らしいものができており、ここを通行する人があつたのであるが、昭和三四年ごろA地の所有者大塚が本件係争土地の東側を埋立てたため本件係争土地に水がたまるようになつたので、控訴人潘が右の溝を埋め、この時から本件係争土地全部が控訴人潘などによつて通路として用いられるようになつたことが認められる。してみれば、本件係争土地は、すでに以前から一応通路らしい形状が存し、人々がここを通行していたのであつて、仮に、現在本件係争土地が通路が開設されている状態にあるというるとしても、控訴人潘以外の何人かが通路を開設したものというべく、本件全証拠によるも、控訴人潘がみずから通路を開設した事実は認められない。(仮に、右に認定した。控訴人潘が本件係争土地の一部に存した溝を埋立て、本件係争土地全部を通行できるようにしたとの事実をもつて、控訴人潘による新たな通路の開設と同視してよいと解しうるとしても、その時期は右のとおり昭和三四年ごろ以後であるから、早くとも昭和三四年に始めて地役権の「継続」の要件が備わつたものというべく、この時から一〇年もしくは二〇年の経過によつて時効が完成するものといわなければならないのであつて、現在なお取得時効の要件がみたされていないことは明らかである。(田嶋重徳 定塚孝司 矢崎秀一)